(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)
ロシアは2022年2月24日、ウクライナに軍事侵攻した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、当初は電撃戦を志向しており、短期のうちにウクライナを占領し、軍事侵攻を終了させるつもりだったとされている。だが、ウクライナとの戦争は長期化しており、依然として停戦に向けた展望が描けない状況だ。
このウクライナに対する侵攻は、ロシアの経済に2つの大きなショックを与えたと整理することができる。
第一のショックは、先進国から締め出されたことで、ロシアのサプライチェーンが劇的に変わったことだ。それまでロシアの経済は、特にヨーロッパからの輸入に依存していた。そのヨーロッパからの輸入が、制裁の結果、激減したのである。
ロシアは2022年1月分を最後に貿易統計の公表を停止している。そのため、相手先の国の統計を用いることでしか、ロシアの貿易動向を把握することはできない。
ロシアはウクライナに侵攻するまで、輸出入を問わず、貿易の半分をヨーロッパとの間で行っていた。つまりロシアの経済は、ヨーロッパに大きく依存していたわけだ。
ヨーロッパからのロシア向け輸出数量の動きを見ると、侵攻前の2021年の平均を100とすると、2022年10月時点で47.1まで下落している(図1)。
【図1 EUのロシア向け輸出数量(ロシアのEUからの輸入量)】
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大まかにいえば、ロシアの輸入の半分を占めるヨーロッパからの輸入が半減したことになり、ロシアの輸入はウクライナとの戦争を受けて25%減少したことになる。