病気の治療代もばかにならない(写真はイメージ)

コロナ疲れでペットに癒しを求める人が増加

 新しい生活様式、おうち時間、ウーバーイーツといった2年前の「新語・流行語」の候補からもわかるように、コロナ禍で人々の生活スタイルは様変わりした。消費者の変化した意識や行動に影響を受けた業界の一つがペット産業だ。

 一般社団法人ペットフード協会の調査によれば、新規飼育者の数は2019年から2020年にかけて犬が14%増加し46万2000頭、猫が16%増加し48万3000頭となっている。

 購入のきっかけは「ペットショップで見て欲しくなった」、購入の理由は「過去に飼育しており、また飼いたくなった」という回答の割合が例年よりも高い傾向にある。

 ペット保険を扱うアニコム・ホールディングス株式会社では、2022年にペット保険「どうぶつ健保」の保有契約件数が100万件を突破したことを発表した。同社はリリースでこうコメントしている。

「コロナ禍で外出自粛が続き在宅時間が増えたこと、また人と人との距離を取らざるを得ない状況の中で孤独を癒す存在を人々が求めたことが、新規飼育の増加に寄与したと考えられます。当社においてもコロナによる影響は大きく、2019年第4四半期(2020年1~3月)を機に新規契約件数が大きく増加し、直近では4半期あたり6万件近くで推移し続けています」

 家にいる時間が増えたことが念願のペット購入につながった人や、人と会えない寂しさを埋めるため、またはコロナ疲れでペットに癒しを求めたなど、様々な事情が推測されるが、コロナ禍ではペットを飼う人が増えたことが数字からもわかる。

 だが、今後は“飼育放棄”をする人が増えるのではないかと懸念されている。実際にコロナ禍で海外から子犬・子猫を輸入するほどのペットブームが起きていたイギリスでは、物価高の影響や環境の変化などの理由から飼いきれなくなったペットを手放す人が増え問題になっている。

 そうした問題はイギリスだけでなく、フランスなどヨーロッパ各国でみられるという。そして残念ながら、日本でも飼育放棄の事例が散見され、社会問題化しつつある。

 犬や猫、うさぎやハムスターなどの人気種だけでなく、あらゆる生き物をペットとして飼うことは、単純に「可愛い」「癒される」という理由だけで安易に決めてよい問題ではない。世話をする手間も時間も、お金もかかるというのが現実だ。それを死ぬまで続ける覚悟をもって、自分に飼うことができるのかどうか判断すべきである。