文在寅氏が引き取った捨て犬の「トリ」(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が“愛犬”2頭の飼育を放棄した。管理費が高くつくため、国に返したいと、2022年11月5日に行政安全部に申し出があったという。文前大統領のSNSにも、秘書室から手放す経緯が長々と書かれていた。報道によって3頭とも言われているが、とりあえずは2頭返還のようだ。

「豊山犬を連れていきたい」と意向を示したのは文前大統領である。2022年3月、次期大統領に内定した尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏を青瓦台に招いた席でそう要求して犬を引き取った。

 彼が手放すと表明した犬は、2018年9月に北朝鮮・平壌(ピョンヤン)で開かれた南北首脳会談時に、金正恩(キム・ジョンウン)が贈った豊山(プンサン)犬だ。名をソンガンイとコミという。

 余談だが、故・金正日(キム・ジョンイル)総書記がプリンセス・テンコー(2代目・引田天功)に送った犬もこの豊山犬だ。豊山犬は中型から大型犬に分類され、秋田犬より少し小さく、紀州犬よりも少し大きいそうだ。

 話を戻そう。文夫妻にはソンガンイとコミ以外にも、猫のチンチンイ(娘が飼っていた猫)、豊山犬で愛犬のマル(大統領就任前から飼っていた犬)、捨て犬のトリもいる。

 金正恩氏から送られたメスのコミは、文前大統領の愛犬マルとの間に7匹の子を儲けた。そのうち6頭はソウルや仁川(インチョン)など、4つの地方自治体に譲渡され、残りの1頭タウニを文前大統領夫妻が引き取った。

 彼が大統領府を出た時、計6頭・匹を私邸に迎え入れたというわけだ。えさ代がさぞかし高くついていることだろう。