カレン族の元旦を祝う祭りで、民族衣装姿のカレン族の女性たち。2019年12月26日撮影(写真:AP/アフロ)

 軍事政権軍と軍政に抵抗する武装勢力との対立により実質的な内戦状態に陥っているミャンマーで、このところ国境周辺を拠点とする少数民族武装勢力が攻勢を強め、政府軍に多大な犠牲が出ている。

 ミャンマーの独立系メディアよると、2022年11月だけで南部カイン州では武装勢力「カレン民族同盟(KNU)」傘下の武装組織が政府軍兵士300人以上を殺害したとしているほか、東部シャン州でも政府軍約200人を地元の「タアン民族解放軍(TNLA)」が包囲して戦闘を継続しており、これまでに政府軍兵士20人が殺害されたとの情報があるという。

 これまでは反軍政で組織された民主派組織「国統一政府(NUG)」傘下の市民武装組織「国民防衛軍(PDF)」が主に各地で政府軍と戦闘を繰り返してきていたが、ここへ来て少数民族武装勢力も政府軍と全面対決姿勢を明確にし、ミャンマー情勢はさらに混沌の度を増している。

カレン州、11月だけで戦闘290回

 南部のカレン州では、KNU傘下にある「カレン民族解放軍(KNLA)」や「カレン国防機構(KNDO)」、PDF、ゲリラグループ、地方防衛軍などの共同作戦が州内各地で展開された。

 KNUのスポークスマンは独立系メディア「ミッズィマ」に対し、2021年2月のクーデター発生以来2022年10月までに政府軍との間で約7000回の戦闘が発生したという。11月の1カ月だけに限っても約290回の戦闘が発生し、それにより政府軍兵士333人が死亡、237人が負傷するなどの痛手を軍政に与えたという。

 これに対して11月の戦闘でのKNU側の被害は、死亡者約30人、負傷者が約70人という。