強豪スペインに勝利して歓喜する日本代表サポーター(12月1日、筆者撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[ドーハ(カタール)発]サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で優勝4度のドイツと1度のスペインを撃破し、アジア勢初の2大会連続ベスト16入りを果たした日本代表。筆者は妻と2人で初のベスト8入りをかけたノックアウトステージの一戦を観戦できる幸運に恵まれた。しかし、サッカーの試合以外は恐怖の「退屈地獄」が待ち受けていた。

 筆者のチケットは一番安いカテゴリーなので、座席はドイツ戦もスペイン戦もハリーファインターナショナルスタジアムのゴール裏。計6ゴールが目の前のネットに突き刺さった。「ウォー」と日の丸を振って大興奮した。この勢いがノックアウトステージでも続くことを祈りたい。

森保ジャパンは「大怪獣ガメラ」か

 森保ジャパンは「大怪獣ガメラ」に似ている。前半は深い海底で首や手足を引っ込め、強敵相手に守りに徹する。後半になったとたん空を飛び、火を吐き、暴れまくる。英BBC放送は日本代表がコスタリカに0-1で敗れたのは、対サウジアラビア戦でのアルゼンチンの敗北、対カメルーン戦でのブラジルの敗北と並ぶサプライズとグループリーグを総括したほどだ。

 筆者は11月21日からスペイン戦の翌日の12月2日までカタールアコモデーションエージェンシーのサイトを通じて予約した集合住宅に連泊した。日本代表がノックアウトステージ進出を果たしたので延泊しなければならない。スペイン戦の試合後、同エージェンシーのサイトを調べると2人用仮設テントで1泊207ドル(約2万7800円)とバカ高くなっていた。

 グリーンランドのシェルターで寝泊まりしたこともある妻がトイレもシャワーも共有のテント暮らしに難色を示したため、2人で1泊314ドル(約4万2200円)の“ホテル”を予約した。しかし引っ越した先の“ホテル”は実は荒涼とした砂地の中に建設されたばかりの高層アパートメント(日本風に言えばタワーマンション)だった。

日本のノックアウトステージ進出で筆者が引っ越した高層アパートメント(左側、筆者撮影)