11月23日、アルメニアのエレバンで開催された集団安全保障条約機構(CSTO)サミットに出席したプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 2月24日のロシアのウクライナ侵攻から9カ月が経った。しかし、停戦の動きは全く見られず、戦争は長期化の様相を呈している。

「エネルギーテロ」

 アメリカをはじめとするNATOの軍事支援を受けて、ウクライナはヘルソンを奪回するなど、反撃を強めている。しかし、南部から東部のドンバスに部隊を移動させたロシア軍も、反転攻勢を準備している。砲弾が不足しているとの報道もあるが、それが事実であるとしても、プーチンがすぐに戦闘を止めるわけではない。

 それどころか、冬の到来を待っていたかのように、ウクライナ全土にミサイル攻撃を仕掛け、発電所などのエネルギー関連施設を破壊している。そのため、電気の供給が減り、首都キーウをはじめ、全土で緊急停電や計画停電が行われる羽目になっている。これは、電力設備の修復のためである。

11月23日、漆黒に沈むウクライナの首都キーウ。停電により夜間はほとんどの灯りが失われている(写真:AP/アフロ)

 さらに、停電に加えて、各地で水道水の供給が止まり、断水となっている。暖房もなく、水もなく、調理もできないとなれば、生きていくことはできない。当局は、ヘルソンやミコライエフから住民を撤退させざるをえなくなっている。

 また、欧州最大の原発、ザポリージャ原発に砲撃が加えられたり、外部電源が途絶えたりして、いつ原発事故が起こっても不思議ではない危険な状況になっている。