北朝鮮の弾道ミサイル、新型ICBM「火星17号」(写真:KCNA/UPI/アフロ)

 北朝鮮による弾道ミサイルの発射が続いている。北朝鮮はすでに日本の上空を通過させる中長距離弾道ミサイルの発射を過去7回も行っており、誤って日本列島へ着弾する可能性もゼロではない。もちろん日本への攻撃となれば、意図的にミサイルの落下地点を日本領土に定めることもできる。

弾道ミサイルの威力はどれほどなのか

 では、万が一弾道ミサイルを迎撃できず日本列島に着弾したらどうなるのか。一般的に考えられるのは、建物やビル等が大きく破壊され、爆風に伴う破片が大量に飛散し、それに伴う被害や火災による被害が発生する。ただ、通常弾頭(高性能爆薬が入った弾頭)であれば、着弾時の被害や影響範囲は局所的ともいえる。

 通常弾頭の破壊力は、例えば、第二次世界大戦時のドイツのV2ロケットミサイル(弾頭重量980kg)はロンドンに500発以上着弾されたとされるが、ロンドンが壊滅することはなく、被害は限定的であった。

 もちろん、現在の爆薬は高性能化しているので単純には比較できないが、日本を攻撃するためといわれる準中距離弾道ミサイル「ノドン」に搭載される高性能爆薬も800kg~1200kgで、V2と同じ程度の威力といえる。

 しかし、現代の弾頭は核弾頭のほかに、次のようなさまざまな弾頭があり、目的別に使用される。

・半径40m以内の施設を全壊させる高性能爆薬(HE)弾頭
・子弾をまき散らすクラスター弾頭
・滑走路や抗堪化された施設を攻撃するための貫通弾頭
・半径500mを焼き尽くす燃料気化弾頭
・炭素繊維をまき散らし送電網をショートさせる炭素繊維弾頭
・電磁パルスで半径75km以内の電子機器を1時間にわたって使用不能にする弾頭

 北朝鮮がこれらの弾頭をすべて保有しているかどうかは不明だが、このうちのいくつかは保有しているはずだ。