Blur「Live At the Budokan」のジャケット写真より

(小林偉:放送作家・大学講師)

洋楽の中に出てくる日本語のあれこれ

 洋楽好きの方なら、歌詞の中に突然日本語が混じっていることに気づき、驚いた経験があるのでは? 中には「どうしてこのワードをチョイスしたんだ?」とか「まったくワケが分からん」とか「誰が教えたんだ!」という感じのものも少なくありません。

 そこで!! 今回はまた洋楽の中に出てくる日本語のあれこれをご紹介いたします。

 最初はこちらの曲。

●SUMAHAMA/THE BEACH BOYS

 あのビートルズより5か月ほど早い1962年5月にレコードデビューしている、アメリカの大ベテラン、ビーチ・ボーイズ。かつてはサーフィンをテーマにした軽快なヒット曲を連発していましたが、次第に音楽の幅を広げていった感のあるバンドですね。

 オリジナルメンバー5人のうち、既にカール、デニスのウィルソン兄弟は亡くなっていますが、残りの3人=長兄のブライアン・ウィルソンとマイク・ラブ、アル・ジャーディンは健在で、断続的にですが今も活動は続けられています。

 さて、この「SUMAHAMA」という曲は1979年にリリースされたもので、「想い出のスマ浜」という邦題がつけられています。この年に来日し、その記念として日本独自でシングルカットもされた曲でもありますね。

 作詞作曲を担当したのは、リードヴォーカリストのマイク・ラブ。イントロからして、ちょっと東洋風で、途中から日本語で歌われる歌詞が出て来ます。

「スマ浜、そこは恋する人たちが手に手を取って歩いた、キレイな白い浜」「いついつ、ママ、スマ浜にいついつ行くの。過ぎた愛を探しに行く、海の彼方、スマ浜」そして一度、英語詞を挟み・・・「スマ浜、秋に木の葉が散るように、寂しく哀しい恋の歌スマ浜の海から」・・・と歌っています。

 よくあるラブソングの歌詞なんですが、問題は「SUMAHAMA(スマハマ)」という文言。

 砂浜の間違いなのか、それとも兵庫県神戸市にある須磨海水浴場のことなのか、歌詞からは判断不能。作者のマイク・ラブも由来についてコメントしていません。ちなみに、ビーチ・ボーイズのメンバーが公私どちらでも須磨海水浴場に行ったという記録もありませんから、これはどうやら「砂浜」の間違い・・・(笑)。