高校授業無償化の対象から外れた朝鮮学校(写真:AP/アフロ)

(豊 璋:韓国人コンサルタント)

 日本での在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は北朝鮮とある程度、距離を置いた在日の組織のように見えがちだが、組織運営の舵取りは北朝鮮、現在なら金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)と朝鮮労働党によって仕切られている。

 国内で開催する何かしらの大会も北朝鮮労働党の大会とリンクしており、日本の中の小さな北朝鮮と言った感じだろうか。

 6月14日の報道でも、金正恩氏が5月下旬、東京で行われた朝鮮総連全体大会にあわせて書簡を送り、在日本大韓民国民団(民団)などとの「民族団結事業」を強化するよう指示したという話が出た。

 金正恩氏は書簡で、「(朝鮮)総連は民族大団結の旗印の下、民団をはじめとする組織外同胞との民族団結事業を強化して統一愛国勢力を一層拡大し、彼らとの共同行動、共同闘争を活発に展開すべきだ」と朝鮮総連に指示した。

 朝鮮総連と民団は70年以上にわたって対立と反目を続けてきたと言われているが、私の見方は少し違う。

 韓国の歴代大統領の中で初めて民団を訪問した文在寅元大統領は、一般の在日韓国人が参加するパーティーに出席した。

 また、2002年に金正日氏が日本人拉致を認めたことで朝鮮総連は崩壊するのだが、その中で中央、地方幹部の多くが民団に流れている事実が確認できる。

 事実、私の叔父も朝鮮総連に籍を置きながら民団での役割もこなしている。

 70年間反目して来たことは事実だが、2002年以降、民団は変わりつつあると思っていた矢先の金正恩の発言だったので、正直驚いた。

 金づるだった在日が朝鮮総連を出たため外貨が思うように集まらなくなったとしても、反韓教育をしている北朝鮮が民団に対して協力を示唆するということは何らかの準備が整ったと見るしかない。金正恩も韓国人と在日韓国人は分けて考えているように見える。

 朝鮮総連とは朝鮮労働党の指示の下、日本での活動の方向性を決めてきたが、今回の指示ばかりは在日の財政的な問題と北朝鮮への不信感が重なり、思い通りにはならないと私は思う。