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(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト)

「100年に一度の大転換」とも言われる電気自動車(EV)シフトを迎え、自動車業界では完成車メーカーのみならず、各部品メーカーも変革への対応に追われています。モーターやバッテリーはもちろんのこと、既存部品においても、よりEVに適した形態、性能への転換が進んでいます。

 こうしたEVシフトの波が押し寄せているのは、自動車の最大の消耗部品ともいえるタイヤも例外ではありません。各タイヤメーカーは、EVの特性に合わせたEV用タイヤの開発、市場投入を進めています。特にEV市場が急成長している中国では、今後の業界動向を占う、大きなファクターにもなりつつあります。

 そこで今回は、EV用タイヤと従来のエンジン車用タイヤとの違いおよび中国市場の現状について見ていきたいと思います。

従来型以上に求められる耐摩耗性、静粛性

 駆動系や制御系の部品と比べ、一見するとタイヤにはEVシフトの影響があまりないように思われがちです。筆者は知り合いから「EV用タイヤなんて本当にあるの?」と聞かれたこともあります。