「ひまわり」(1970) 写真/Everett Collection/アフロ

(小林偉:放送作家・大学講師)

“戦争と平和”について歌われた洋楽曲

 既に開始から半年以上を経過し、長期化も予想されているロシアによるウクライナ侵攻。一部でロシア軍の劣勢が伝えられる中、ロシア政府は9月21日、部分動員令という、過去に軍に在籍経験のある、いわゆる予備役にあたる国民の戦争招集を発令する事態にまで発展しました。遂に広くロシア国民にも直接的な影響を与え始めたこの戦争。終結するのは、いつになるのでしょう。

 そんな暗いムードを振り払うべく、今回は“戦争と平和”について歌われた洋楽曲を幾つかご紹介したいと思います。

“戦争と平和”について歌われた曲といえば、真っ先にジョン・レノンの『イマジン』が思い浮かびますが、あの曲と並んで歌い継がれている名曲がこちらです。

●(What’s so funny about)Peace, Love & Understanding/Brinsley Schwarz

 1970年代のイギリスの酒場を活動の場にしていた、いわゆるパブロック・バンドの代表格であるブリンズリー・シュワルツが、1974年にリリースした曲です。

 この曲の歌詞をザックリ訳すと・・・「暗闇の中で光を求めて歩いて行くと、ふと自問自答することがある。この世に希望ってものはないのか? あるのは苦痛と憎しみと悲惨な出来事ばかりなのか? そして、そんな風に思うたびに知りたくなってしまうんだ。平和と愛と、互いに理解することの、何がそんなに可笑しいのかって」。

 タイトルの前に「ホワッツ・ソウ・ファニー・アバウト」という言葉がカッコでくくられているのがミソ。「平和と愛と互いに理解すること(それの何がそんなに可笑しいのか?)」となっているんですね。

 その後も「頼りになる人はいるの? 信頼できる人は? 美しい絆はどこに行った? そうしたものが消え去っていこうとしているから、こんなことを想う。平和と愛と互いに理解することの何がそんなに可笑しいのかって」と続けています。

 皮肉屋の多いイギリスのミュージシャンらしく、まっすぐに平和や愛を歌うのではなく、ちょっとナナメな視点で書かれていることが、よりメッセージ性を強めているようにも感じます。

 この歌は、エルヴィス・コステロがシングルでカヴァーしているのをはじめ、ブルース・スプリングスティーンやジャクソン・ブラウン、ボン・ジョヴィ、シェリル・クロウといった英米のトップ・アーティストたちが、フェイバリット・ソングに挙げ、ライヴなどで頻繁にカヴァーしています。

 続いては、こちら。