さかなクンを育てた両親の独特すぎる教育法
魚のことなら種類から生態、食べ方まで何でも知っていて、ハコフグの帽子をかぶったキャラクターでお馴染みのさかなクン。明るい人柄でお茶の間の人気者だ。彼のこれまでの人生を描いた映画『さかなのこ』が9月1日より上映されている。
さかなクンの役を女優・のんが演じていることが話題となっているが、キャスティング以上に観客の関心をよんでいるのが、さかなクンの両親の独特すぎる教育法だ。とくに小学校から高校まで、ずっと魚のことにしか興味を示さず、全く勉強をしなかったさかなクンに対して、叱ることもせず、むしろ応援して背中を押し続けた母親のエピソードには心温まるものがある。
映画の原作となった自伝的エッセイ『さかなクンの一魚一会』(講談社 青い鳥文庫)のなかで紹介されていたエピソードを挙げてみよう。
さかなクンは魚のことで頭がいっぱいで、授業中に魚の絵ばかり描いていたり、休み時間も図鑑を見たり。家庭訪問で教師から「授業にまったく集中していません。もう少し、学校の勉強もやるように家庭でも指導を」といわれた母親は、「成績が優秀な子がいればそうでもない子もいて、だからいいんじゃないですか。みんながみんないっしょだったら先生、ロボットになっちゃいますよ」と平然と言ってのけたという。
一方、父親とのエピソードは、原作の中ではほとんど出てこない。
日頃から家を空けることが多かったという父親だが、さかなクンが通知表をもらってくる日だけは家族で高級寿司屋に行くのが恒例だったという。だが、あまりにも悪い成績に、店の机を叩きながら「なんだこれは!!なにやってんだ!どうなってるんだー!」と、いつもカミナリが落ちたという。
とはいえ、本の中でさかなクンは〈父は厳格でしたが、それでもお魚ばかりに夢中になることを止めることはありませんでした〉と少年時代を振り返っている。