例えば、ゴッホのこうした絵を何枚もデータ入力していけばAIが“新しい絵”を描いてくれる・・・これに私たちはどう対応すべきなのか

 8月末から、あるサイト関連で「炎上」が発生しました。

「ミミック(https://illustmimic.com/)」

 イラストを合成してくれるシステムですが、これが大炎上してしまった。

なぜ「炎上」か?

 このシステムは、30枚以上の「画像」があれば、それを学習して、似て非なる絵を作り出してくれる、いわゆる「AI画伯」の1タイプです。

 つまり、そこに「ジブリ」とか「宮崎駿」とか「ONE PIECE」とか「鬼滅の刃」とか、そういうものを突っ込んだら・・・それであるようでないようなものが、いくらでも作れてしまう。

 そのとき、著作権や権利料はどうなるのか?

 そんなことなど、こうしたシステムが「法律以前」の大問題を含むことは、すぐにお分かりいただけると思います。

 今回は「AI画伯」を巡る情報社会システムやルール作りについて、平易に考えてみましょう。

「画伯」は何をしているか:AIと著作権

 ミミックのサイトは謳います。

「mimicはAIを活用して描き手の個性が反映されたイラストメーカーを自動作成できるサービスです。30枚以上のイラストがあれば、あなただけのイラストメーカーを作ることが出来ます」

 描き手の「個性」が「反映」されたイラストというのは、AIが「特徴抽出」演算を行い、学習というと聞こえがいいですが、一種のパクリを自動的にするわけです。

 ちょっと古い例で並べるなら「手塚治虫の線」「さいとうたかおの線」「白土三平の線」「水木しげるの線」こういうものをマシンが勝手に「学習」して「複製」してしまう・・・。

 この「複製」が、場合によると法に引っかかる可能性のある部分です。「複製・頒布」とか「複製・販売」となると、灰色というより限りなくクロに近づく。

 かつて私が中学高校生だった頃、テレビに夏目房之介氏が登場し、その場で「手塚の線」「赤塚の線」と書き分けて見せたのは、実に鮮烈でした。

 あれは1978年とか80年とかのことだったと思います。

 あれから40余年、夏目氏の才と努力なしにも、あらゆる素人が適当に画像をパクってきて、それをシステムに入力し、いろいろ並べてみてそこから取捨選択して良さげなものを選べるようになれば、クリエーターなどは要らなくなってしまいかねない・・・。

 そういう危惧もあるようです。