記者会見するFRBのパウエル議長。FRBは2022年7月27日に基準金利を再び0.75%引き上げた(写真:AP/アフロ)

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が、あらためて利上げに対する決意を示すなど、全世界的にインフレ対策が最重要課題となっている。

 インフレは継続的に物価が上昇する現象だが、大規模なインフレがなぜ突如として発生するのか明確なメカニズムは分かっていない。

 今回のインフレは直接的には原油価格の上昇を起点としたものだが、量的緩和策によるカネ余りや全世界的な需要拡大、さらには生産性の長期的な低下など複雑な要因が絡んでいる。(加谷 珪一:経済評論家)

単一の要因では大規模なインフレは発生しない

 一般的にインフレというのは、供給に対して需要が過大になった時や、逆に需要に対して供給が制限された際に発生する。教科書的に言えば、前者はディマンドプル・インフレ、後者はコストプッシュ・インフレということになる。だが、教科書的な区分というのは、あくまで現象を分かりやすく説明するために作られたものであり、現実社会において機械的にキーワードを当てはめるべきではない。