(市岡 繁男:相場研究家)
インフレにより賃上げが大きな焦点になっています。「分配」を重視する岸田政権も賃上げには高い関心を持っています。では私たちの実際の「懐具合」はどう推移してきたのでしょうか。
総務省が発表する家計調査報告には、世帯の実収入額や消費支出額、非消費支出額(直接税+社会保険料)などが網羅されています。
今回、勤労者世帯の非消費支出額に、消費税負担額(消費支出額×税率)を加えたものを「修正非消費支出額」とし、実収入額に対する割合(修正可処分所得率)を計算してみました。つまり、所得税などの直接税に社会保険料、そして消費税を除いて、正味の消費に使える可処分所得の比率です。図1の折れ線がそれを示しています。
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2001年に81%台だった同比率は、2007~2008年の国際金融危機、2011年の東日本大震災、2014年と2019年の2度にわたる消費税増税といった節目のたびに低下しました。直近は76%台と2001年からの21年間で5%ポイントも下落しています(図1)。
もっとも、2014年の消費税増税以降は横ばいで、悪化傾向に歯止めがかかったかのように見えます。