プーチン大統領(写真:代表撮影/AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から半年が経った。しかし、停戦の見通しは全く立っておらず、戦争は長引きそうである。それに伴い、世界のウクライナに対する関心も薄れてきた。「ウクライナ疲れ」というのが実情である。

 日本でも、統一教会、国葬、新型コロナウイルスの感染拡大などの問題が人々の関心を引き、開戦当時は連日トップ項目で伝えていたテレビの報道番組やワイドショーもあまり取り扱わなくなっている。それは視聴率を稼げないからであるし、戦争の展開に大きな変化がなく、もはや「絵にならない」からである。

 戦争を始めたプーチン大統領も、ウクライナのゼレンスキー大統領も、また世界各国も、この長期化は予想していなかった。なぜ、その予想が外れ戦争が長期化しているのか。答えは、誤算の積み重ねにある。

最大の誤算、ロシア諜報機関の問題

 ロシア側の計算では、「特別軍事作戦」の効果が直ぐに現れて、1週間もすれば、ウクライナの政権は倒れ、ゼレンスキー大統領は、海外に亡命するか、暗殺される。その後、すぐにロシアの傀儡政権が樹立され、NATOやEUへの加盟申請をとりやめるはずであった。これがプーチンの描いたシナリオだった。

 では、なぜこのような楽観的な見通しだったのか。

 第一は、ロシアの諜報機関の問題である。ソ連時代にはKGBが世界中にスパイ網を張り巡らせていたが、その後継のFSB(連邦保安庁)も同様な活動を展開している。プーチン大統領は、その第4代長官を務めている。

 問題は、FSBがプーチン大統領の喜ぶような情報しか上げていないのではないかということである。これこそ、まさに22年に及ぶ長期政権の弊害である。