産児制限を緩和した中国。国連の出生低位推計では、2021年に人口ピークを迎える(写真:AP/アフロ)

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(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

 最新の国連推計に基づけば、21世紀後半には世界人口が減少局面へ転じ、人口爆発は終焉を迎える。歴史を振り返ると、人口爆発をもたらした主因は死亡率低下であったのに対し、人口爆発の終焉をもたらす主因は出生率低下である。経済成長等を背景に、「多産少死」から「少産少死」へ転換が進んでいる。

「少産少死」がもたらす人口問題は2種類ある。人口が減少局面へ転じるという「規模」の問題に加え、少子高齢化が進むという「構成比」の問題もある。

 実は、「規模」の問題よりも「構成比」の問題が先に訪れる可能性が高い。日本が既に経験している現役層の負担増や財政悪化の問題は、今後グローバルに広がりやすいと思われる。

 世界の人口動態における、かつての中心的なテーマは人口爆発だった。人口爆発が、エネルギーや食糧といった資源の枯渇をもたらすと懸念されたほか、発展途上国ではさらなる貧困を招くとして警戒された。

 だが、近年は人口爆発の終焉が取り沙汰されている。

 7月11日に国連が公表した最新の推計によれば、世界人口の伸び率は1964年の+2.24%をピークとして低下基調にある。コロナ禍に直面した2020年に+0.98%と統計開始以来初の+1%割れを記録、2021年には+0.87%まで低下した。