ロシア軍にミサイル攻撃されたウクライナの首都キーウ(6月26日、写真:ロイター/アフロ)

 2.24後の世界では、「人類はどう生き残れるか」が最も重要な問いになった。私たちは今、一瞬で平和な生活が人類の破滅に変わりうる時代に生きている。

 ロシアは絶対悪か?

 ロシア国民はプロパガンダ(宣伝)の犠牲者か?核戦争は防げるか?

 これらの問いの答えを探すため、極東連邦大(ウラジオストク)の教え子からもらった1通のメールと向き合った。

「ウクライナでの特殊作戦――国家安全保障の直接的な脅威から自国を守る試み、NATO(北大西洋条約機構)拡大と国境近くの兵器配備を阻止する試み。ロシアには国境、主権、祖国を守る以外の選択肢がありませんでした」

「同様の事件は、ソ連が自国のミサイルをキューバに配備した1962年にも起こりました。米国はキューバへのソ連製ミサイル配備を容認しませんでした。なぜ今、ロシアは国境近くのNATO部隊の配備を黙認しなければいけないのですか?」

 西側の社会では「宣伝の犠牲者」と一笑に付されるかもしれないが、相手を全否定し、自分は絶対に正しいという態度こそが戦争を生み出すのではないか。

 国際感覚に優れた優秀な若者の意見について考え続けた。

 確かに米国はウクライナのNATO加盟に執着し、同国に最新兵器を供与してきた。

 2.24前にウォロディミル・ゼレンスキー大統領はミンスク合意(ウクライナ東部紛争をめぐる停戦合意)を破り、親露派への激しい攻撃を続けてきた。

 ただ、欧州での中距離ミサイル配備問題などについて米国は譲歩の姿勢を見せ、ロシアは外交的に勝利したとも言える状況だった。