南北首脳、米朝会談実現へ再会談 米政府は準備担当者を現地派遣へ

韓国・北朝鮮間の非武装地帯(DMZ)にある板門店で、2回目の会談を前に抱擁を交わす北朝鮮の金正恩労働党委員長(左)と韓国の文在寅大統領。韓国大統領府が東亜日報を通じて公開(2018年5月26日撮影)。(c)AFP PHOTO / Dong-A Ilbo / Handout〔AFPBB News

 米朝首脳会談開催をめぐり、駆け引きが続いている。

 いずれ会談は行われるであろうが、会談で米朝が、北朝鮮の「CVID(完全かつ検証可能で不可逆の非核化)」に合意したとしても、実質的な真のCVIDの実現はできるのであろうか。その可能性を分析する。

1 CVIDが実現できない軍事上の理由

 米朝首脳会談開催については、開催合意後も駆け引きが続いている。米朝は、まだ実質的な譲歩をしているわけではない。特に米国はCVIDを北朝鮮が行動で示すまでは、圧力を緩めないとする原則的な立場を崩していない。

 しかし、CVIDを真に達成することは、以下の軍事的理由からほぼ不可能と言える。

 まず、空爆による核関連施設などの全数破壊はできない。

 地下目標の位置把握と破壊の困難さ。北朝鮮には地下施設が1万数千か所あり、弾道ミサイルの数は1000発程度とみられ、その大半は移動式の発射台から、最大200か所の基地から発射可能で、普段は地下に格納されている。

 地下施設のうちのどれに核関連施設や核ミサイル基地があるのか、完全に把握するのは困難である。

 また、地下施設の位置が判明したとしても、それらを確実に破壊するのも容易ではない。通常弾頭では地下70メートル、核弾頭を使っても地下数百メートルまでしか破壊できない。地下施設を確実に破壊するのは、空爆のみでは不可能である。

 しらみつぶしに地下施設を制圧するには、1993年当時の見積を準拠とすれば、湾岸戦争に匹敵する数十万人の地上兵力により北進し、本格的な第2次朝鮮戦争を数か月にわたり行わねばならないと予想される。

 しかし、その結果、通常戦力による戦いだけでも、米軍に数十万人、南北朝鮮では民間人を含め数百万人の損害が出るであろう。