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(田丸 昇:棋士)

女流棋界の第一人者

 日本将棋連盟は6月28日、里見香奈女流四冠(女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花=30)がプロ編入試験の受験を申請したと発表した。

 女流棋界の第一人者である里見四冠は、プロ公式戦にも出場して棋士と対戦し、好成績を収めてきた。

 そして、5月27日に棋王戦で古森悠太五段(26)に勝ち、プロ公式戦の直近の成績が10勝4敗となって、プロ編入試験の受験資格を取得した。

 この制度は2014年4月に設けられた。アマチュア選手や女流棋士がプロ公式戦で棋士と対戦し、「10勝以上・6割5分以上の勝率」の条件を満たせば、プロ編入試験を受験することができる。

 過去には、2014年12月に今泉健司五段(49)、2020年2月に折田翔吾四段(32)がプロ編入試験に合格し、四段に昇段して棋士になった。女流棋士の受験は、里見が初めてのケース。

プロ公式戦での初勝利は初出場から12年後

 女流棋士がプロ公式戦に初めて出場したのは、1981年(昭和56)の新人王戦だった。その棋戦担当者は「勝負は二の次です。女流棋士がプロ公式戦に参加する道を開いておくことが、将来の将棋界にとって大きな意味を持ちます」と主張し、将棋連盟の理事を説き伏せて実現に至った。

 その後、女流棋士が出場するプロ公式戦は次第に増えていったが、棋士になかなか勝てなかった。当初から何と38連敗もした。

 女流棋士のプロ公式戦での初勝利は、初出場から12年後の1993年(平成5)。中井広恵女流名人(当時24)が竜王戦で池田修一六段に勝った。そのときはNHKニュースで報じられ、社会的にも注目された。

 そんな話も、今は昔。女流棋士が若手精鋭の棋士に勝つことも珍しくなくなった。

 2003年には、中井女流三冠がNHK杯戦でA級棋士の青野照市九段に勝った。2013年には、甲斐智美女流王位(同30)が王位戦でタイトル経験者の深浦康市九段に勝った。