記者会見するKDDIの高橋誠社長(7月3日、写真:つのだよしお/アフロ)

 KDDIによる前代未聞の通信事故、私も直接の被害を被りました。

 本稿校正中の7月5日15時36分に「全面復旧」との発表(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC04BRD0U2A700C2000000/)がありました。実に発生から86時間、まる3日半以上も事態を収束させることができなかった。前代未聞の状況です。

 最初に、前回の本連載で告知した東京大学哲学熟議(https://mitsishikawa.wixsite.com/musicmanufacture/jukugi20yugi8)ZOOMの遠隔配信アドレスを、お申し込みの人にメール送付できませんでした。

 仕方なく、ポータルサイト上、不特定多数に見える形でZOOMのURLを添付しましたが、予約された方のアクセスはほとんどなく、ご迷惑をおかけしてしまいました。

 なぜメールが送信できなかったかというと、入場管理のメールアドレスにアクセスするためには二重承認で、携帯電話に送られてくる確認コードを打ち込む必要があり、それがau、KDDIの携帯で、他のネットに繋げない状況だったのです。

 この分も補って今週土曜日、7月9日の哲学熟議で情報発信の予定です。

 今回の哲学熟議では、日本民間教育協議会(https://www.private-education.org/)以下10団体ほどが、衆参両院の全国会議員ならびに参院選出馬の候補者向けに行った、AI化時代に備える教育改革への意識に関する学術調査(https://www.schweitzerstreamm.com/enquete)の中間結果などを発表します。

 私たち東京大学教員有志は、民間教育協議会、私立大学協会など関係者と協議のうえ、学術調査の設計と解析に協力しています。

 日本の教育を巡る状況は残念ながら「絶望的」と言えるほど厳しいものがあり、事務局によれば全国会議員に発したアンケートの回収率もまだまだ低いようです。

 私たちは学術セクターで政治活動とは縁がなく、個別候補の当落に関わることにはコミットしません。

 しかし各政党ごとの未回答率の高さなどは客観的な調査結果ですので、ありのままを公開する念頭です。

 つまり、それくらい、いまの政治は「教育に無関心」で、その結果「失われた30年」が2030年には「失われた40年」に、さらには「失われた人生」になりかねない。