アフガニスタン東部で発生したM5.9の地震によって倒壊した家(2022年6月25日、写真:ロイター/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 昨年(2021年)7月から8月にかけて、アフガニスタンにおけるアメリカの傀儡政府がタリバンが率いる反政府勢力によって予想以上の速さで崩壊したため、慌てふためいたバイデン政権はカブールにあった大規模な米軍基地を閉鎖し、アフガニスタンから米軍を撤収させた。

 一部米軍首脳の反対にもかかわらずバイデン大統領が緊急撤収命令を発したため、米軍は数多くの貴重な武器兵器(軍用輸送機4機、ヘリコプター100機、軍用装甲車両2000両、各種車両8万両、自動小銃等小火器60万丁、各種銃弾3000万発など)を放置したまま、全部隊がアフガニスタンから撤退することになった。まさに“逃亡”と見做されても仕方がない醜態であった。

 その際、カブール国際空港から国外脱出を求めて縋(すが)りつく多数のアフガニスタン市民を振り切りながら離陸する米空軍大型輸送機の映像は、米軍の混乱に満ちた逃亡劇の象徴として、そして心ある米軍人にとっては恥辱に満ちた光景として、国際社会に流布することになった。

アメリカの“逃亡”をプロパガンダに活用

 このようなアメリカの失態を、タリバン側とも米傀儡政府側とも繋がりを保っていた中国が黙って見過ごす道理はない。