ロシアによるウクライナ侵略は肥料の価格高騰も引き起こしアフリカ諸国に深刻なダメージを与えている(写真は3月31日ケニアの首都ナイロビ近郊のお花畑で雑草を刈る農民、写真:AP/アフロ)

 ロシアによるウクライナ侵攻からすでに4カ月以上が経った。

 ウクライナ東部での戦闘は収まるどころか、さらに激化するとの見通しが有力だ。首都キーウが3週間ぶりにロシア軍に攻撃されてもいる。

 それに対し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6月25日のビデオ演説で、「すべての都市を奪い返す」と強気の発言をしており、ウクライナ戦争はほぼ間違いなく長期化しそうな情勢である。

 そんな中、同戦争に対する興味深い見方がワールドニュースのスポットライトを浴びた。

 アフリカ連合(AU)加盟国55カ国のうち、「被害国」であるはずのウクライナに加担する国がほとんどいないことが明らかになったのだ。

 ロシアがウクライナに一方的に軍事侵攻したという事実は国際的に広く認知されているはずだが、それは世界中の国々で共有されている統一見解ではない。

 6月20日、ゼレンスキー氏はアフリカ諸国の代表たちとビデオ会議(Zoom call)を開こうと画策していた。

 ドイツとフランスも会議の開催を随分前からあと押ししたが、会議は失敗に終わる。

 というのも、55カ国の国家元首のうち、参加したのは4カ国だけだったからだ(セネガル、コートジボアール、リビア、コンゴ)。

 ウクライナ戦争はロシアによる不当な侵略から始まったはずだが、ほとんどのアフリカ元首はゼレンスキー氏の話に耳を傾けることを拒否しただけでなく、ウクライナが「犠牲者」であるとの捉え方もしてないのだ。