閉店前のイケア店舗に殺到したロシア人客(3月3日、写真:ZUMA Press/アフロ)

 6月15~18日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで毎年恒例のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムが盛大に開催された。

 その最中、スウェーデンのイケア、米国のコカ・コーラ、フランスのロキシタンなど大手外資系企業がロシア撤退を相次いで公表した。

 世界経済発展のためのサンクトペテルブルク国際経済フォーラムに、まさに水を差すニュースとなった。

 特にイケアの撤退発表は注目を集めた。

 イケアが2000年に1号店を開いた時には、そこがモスクワ市中心部から離れた場所だったにもかかわらず4万人以上の客が押し寄せた。

 この熱狂ぶりは当時、マクドナルドの進出と並ぶ逸話である。

 イケアはその後20年以上ロシアで活動、2022年3月時点ではロシア国内に26店舗を展開する大手外資小売の成功例として高く評価されてきた。

 しかし、同社はロシアの特別軍事作戦開始直後の3月4日に店舗の一時営業停止を発表。

 現在まで1万9000人の従業員に給与を払い続け、雇用を維持していたものの、6月15日、同社はついにロシアの小売事業縮小と製造工場の売却を発表した。

 イケアの公式サイトに公表されたコメントは以下のようである。

「この数か月間で、当社のビジネス・プロセスとサプライチェーンの状況が全世界で大きく悪化した」

「これにより近い将来にロシアで販売事業を再開する機会を見出すことは難しくなった。こうした状況を鑑み、インテル・イケアグループ(注:イケアの親会社)とイングカ・グループ(注:イケアのロシア子会社)はロシアにおける事業を縮小することを決定した」

「これは難しい決断だったが、避けることができないものだった。なお、ロシアにおける小売事業は一時営業停止を続ける(以下省略)」

(出典:イケア・ロシアのオフィシャルサイトhttps://www.ikea.com/ru/ru/