6月3~11日、モスクワのボリショイ劇場で第14回モスクワ国際バレエコンクールが開催された。
同コンクールは1969年から4年に1回開催されており、世界の若手バレエダンサーにとって重要な登竜門となっている。
コンクールの主催者はロシア連邦文化省、芸術監督はボリショイ劇場の偉大なコレオグラファー(振付師)、ユーリ・グリゴロビッチ氏である。
今回のイベントはグリゴロビッチ氏の生誕95周年記念でもあり、コンクールの審査委員長を務めた。
2022年2月24日にウクライナ特別軍事作戦が始まって以来、ロシアからは多くの芸術家が出国した。
また、ロシアの芸術家はその政治姿勢にかかわらず海外で冷たい対応を受けることが相次ぎ、ロシアは経済制裁だけではなく芸術の世界でもボイコットされている。
こうした状況下、今回のこのコンクールは本当に国際的になるか心配されていた。
ところが、いざふたを開けてみると、コンクールの審査員も参加者も、多くの外国人が参加していることが判明した。
コンクールの審査員は伝統的にロシアと海外の振付師、ロシアと海外バレエ団のソリスト、著名な評論家などが務めている。今回も例外ではなかった。
審査員には、ロシアからはボリショイ劇場のプリマ・バレリーナで日本でも有名なスベトラナ・ザハーロバ、かつてボリショイ劇場のプリンシパル・ダンサーを務め現在は国立ワガノワ・バレエ・アカデミーの校長代理を務めるニコライ・ツィスカレーゼなど、世界中でロシア・バレエの大スターとして知られている人物が選ばれた。