(写真:picture alliance/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 日本で事業を展開しながら法人登記をしていない海外IT企業大手に、日本政府が罰則手続きをとる。21日付の日本経済新聞が1面で報じると、当日の古川禎久法相の会見の内容として時事通信や共同通信が伝えている。

 政府は今年3月末までにメタ(旧フェイスブック)やツイッター、グーグルなど48社に登記を求めたが、応じない企業があった。そこで法務省と総務省が連名で6月13日までに、あらためて登記を済ませるよう求めたが、多くは登記をしてないという。メタやツイッターは、少なくとも13日までに登記はしてない模様。

 法務省は、今後も登記に応じなければ、会社法に基づき過料を取るよう裁判所に求める意向だ。

日本の警察に非協力的な海外の巨大ITプラットフォーマー

 しかし、日本政府のこの対応はあまりにも遅すぎると言わざるを得ない。海外の巨大IT企業が国内に本社登記を置かないことで、多くの利用者と広告収入がありながら、これまで日本の法律を無視してやりたい放題やってきているからだ。私もその被害を受けたひとりだ。

 奇しくも、政府が期限を定めた13日には国会会期末を前に、インターネット利用者の情報を保護する規制を盛り込んだ改正電気通信事業法が参議院本会議で可決、成立。同時にインターネット上の誹謗中傷の対策として「侮辱罪」を厳罰化した改正刑法も参議院本会議で可決、成立している。いままでの法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」だったが、これに「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を加えた。公訴時効も1年から3年に延びた。女子プロレスラーの木村花さん(当時22歳)が2020年に、SNS(交流サイト)で中傷され、亡くなったことをきっかけに見直しの議論が進んだ。

 だが、いくら「侮辱罪」を厳罰化したところで意味はない。なぜなら、日本の警察が捜査もできなければ、巨大ITプラットフォーマーは協力もしないからだ。