3月27日、国軍記念日の軍事パレードに登場した軍政のトップ、ミン・アウン・フライン総司令官(写真:新華社/アフロ)

 ミャンマーの中心都市ヤンゴンで5月31日に爆弾テロが発生し、1人が死亡、9人が負傷した。当初は軍政に反対する民主派の武装組織による犯行が疑われたが、にわかに「軍政による犯行」との説が浮上し、国中が騒然となっている。

「軍政による犯行」が疑われた理由は、使用された爆薬が高性能だったことだ。そのため、軍政に反対して武装闘争を続けている武装市民組織「国民防衛隊(PDF)」の犯行ではなく、PDFなどに市民の反感を招くために軍が仕掛けた爆弾との見方が広まっている。

 軍政に対抗して民主派が組織した「国民統一政府(NUG)」傘下のPDFは、軍兵士や軍関係者及び内通者などの個人や拠点を襲撃対象にしているが、今回のように一般市民を狙った爆弾テロは行っておらず、「我々を陥れるために軍による自作自演のテロであり、断じて許すことはできない」と軍を厳しく非難している。

 一方の軍はあくまでも「PDFによる犯行」を主張、死亡した男性がテロの加害者だった可能性があるとして、男性の家族を拘束、尋問している。

爆破直後の悲惨な状況がネットに

 31日午後3時半ごろヤンゴンのチャウクタダ郡区アナウラタ通りと35丁目の交差点角にあるバス停付近で爆弾が爆発し、付近にいた市民が巻き添えになった。この爆発でテイン・リン・フトゥンさん(25)が死亡、9人が重軽傷を負った。

 爆発現場に軍や警察が駆けつけて現場一帯を封鎖し、近くの商店に閉店を命じる前に市民らが携帯電話などで撮影した爆発直後とみられる複数の写真が反軍政を掲げる独立系メディアなどに掲載された。