慶尚南道梁山市にある父親の墓地を訪ねた文在寅氏夫妻(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(ミン・ジェウク:日韓関係専門家、フリー記者)

「忘れられた人になりたい」という文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は退任以降、できるだけ外部の日程を自制して退任後の余生を楽しもうとしたが、その試みは失敗に終わっているようだ。

 文在寅氏が5月に大統領を退任した後、慶尚南道梁山市下北面(ハブクミョン)平山(ピョンサン)村の私邸に入居しようとしたところ、支持者と反対者が私邸周辺に集まり、入居に対し「賛成」と「反対」の声をそれぞれ上げながら、集会など政治的行動に出ている。

 平山村の住民は相次ぐ集会と訪問客で疲労困憊し、一部の村住民は身体に異常をきたし病院で治療を受けるはめになった。村の人々は文在寅元大統領の集会やデモによって、不眠症、ストレスなど、身体的苦痛を訴えている。

 平山村の住民によれば、70代半ばから90代初めの年配の方10人が、23日、梁山新都市にある病院を訪れて診療を受けたという。高齢ということもあり、集会の騒音による不眠症、あるいはストレスなどが原因による食欲不振で、身体の異常を訴えたと分かった。

 ある住民は、「村ができて以来の出来事。集会が続き、騒音で眠れない。深刻なストレスを受けている。一部の年配の方は、幻聴と食欲不振など、神経衰弱のような症状を訴える方も多い」と報道陣に語った。

 文在寅前大統領退任後、初めての週末だった5月15日、彼の私邸がある平山村は、全国からやって来た支持者や訪問客であふれかえっていた。同時に、さらに多くの反対派が集まり、文前大統領を糾弾する抗議集会を相次いで開催したため、村は大騒動になった。

 文前大統領は、自身のソーシャルメディアに、「拡声器の騒音と悪口による反知性主義が、小さな田舎の日曜日の平穏と自由を乱している」と綴った。その発言に対して、国民は「どの口が言うのか? これだけめちゃめちゃな国にしておいて平穏を求めるなら刑務所しかないだろう」と辛辣なコメントが多く出ている。