結婚を発表する小室圭氏と真子さん(2017年資料写真)

 拉致被害者の父母や兄弟が高齢化して、被害者に再会することなく次々に亡くなっている。

 横田滋さん、有本嘉代子さん、飯塚繁雄さんに続き、拉致被害者・地村富貴恵氏の実兄で、被害者救出に尽力した浜本雄幸さん(93歳)が4月28日に亡くなった。

 関係者には平均寿命をはるかに超えている人も多く、悲報が続くのも自然な結果かもしれない。

 富貴恵さんが失踪してから44年間探し続け、北朝鮮の国家犯罪であることが分かってからでも20年余が経った。この間、政府は国を挙げて救出努力をしたのだろうか、疑問が尽きない。

 現在はウクライナ問題から日本において以前にも増して、「自分の国は自分で守る」必要性が認識されたようだ。

 このための軍隊の必要性も認識され、「憲法改正」をさほど口にしてこなかった岸田文雄首相の口からも「自衛隊の〝違憲論争に終止符″を」などと聞かれるようになってきた。

 国際情勢は待ってくれない。事態に迅速適切に対処するために憲法改正は喫緊の議題である。

軽すぎる政治家の決意や発言

 拉致被害者5人が帰国して以降、一歩も進展しなかったのは、北朝鮮を動かすだけの力が日本になかったからである。

「アメとムチ」と言われるように、アメを与える外交で相手を動かせれば御の字であるが、北朝鮮のような国は国民の意志などはほとんど反映しない。そこで有効なのがムチ、すなわち軍事力である。

 北朝鮮自身、ミサイル発射などを盛んに行っており、交渉にムチの必要性を認識しているからにほかならない。

 こうした国と、そもそもアメだけで交渉してきたこと自体があまりにもうぶな日本(外交)という以外にない。

 相手は日本の領土に不法な手段で侵入し、こともあろうに日本人を拉致して該国に連れ出し、状況証拠が判明した後も、国家的な約束を破り、のらりくらりして逃げ回ってきた。

 不可侵とされる国家主権を犯して行った国家犯罪に対して、これほど無力な日本は「国家」と呼べるのだろうか。