台湾・台北の街並み(出所:Pixabay)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が4月30日、5月1日と続けて気になる特ダネを報じた。

 1つが、中国で財政・金融・銀行部門のトップ官僚が召集されて緊急討議が開かれたという報道。続いて、英米が中国の台湾に対する脅威についてハイレベル協議をすでに開いていたという報道。いずれも中国による台湾進攻を前提とした話である。

 今は日本も中国もゴールデンウィーク中、特に日本人にとっては、3年ぶりに行動制限のない連休を満喫して、不穏な話など聞きたくないだろうが、ちょっと危機感をあおるような話をしたい。

台湾侵攻後の経済制裁を想定

 内容を簡単に説明すると、報道は中国共産党内部の複数の筋の情報をもとにまとめられており、4月22日、北京で財政、金融、銀行の高級官僚に招集がかけられ、内部討議が行われたという。中央銀行官僚や国有銀行だけでなく、英国HSBCグループ傘下の滙豊銀行(本部・香港)なども含む数十社の銀行トップが参加。財政部官僚が会議席上で説明したところによれば、中国で運営するすべての国内外大型銀行から代表がこの会議に出席しているという。

 米国はロシア中央銀行のドル資産を凍結するなど、厳しい対ロ経済制裁を実施している。これを見た習近平政権が、米国が次に中国に金融制裁を仕掛けてきた場合、どういう対応をすべきかを検討することがこの会議の目的だった。