フォロワーの動きに早くも異変

 それ以上に重要なのは、マスク氏が約束しているモデレーションの緩和をユーザーがどう解釈するか、だ。

 政治的な変化はすでに始まっている模様で、マスク氏による買収が発表されて以来、共和党の政治家がフォロワーを増やす一方で民主党の政治家は減らしている(図参照)。

 普通のユーザーは、モデレーション緩和の結果を好まないかもしれない。

「私の言う『言論の自由』とは、法律に従っている言論というシンプルな意味だ」

 マスク氏は買収が合意された翌日にそうツイートした。

 だとすれば、例えば人種差別的な投稿にも青信号がともることになるだろう。ほとんどのユーザーは面白いと思わないが、一部の国では合法だからだ。

 例えばパーラーやゲッターなど、合法なら何でも受け入れる目的で立ち上げられたほかのSNSも、人を罵倒する言葉やポルノであふれてしまったことから、最終的に検閲を強化した。

 ハーバード大学ロースクールでオンラインの言論を研究しているエブリン・ドゥーク氏は、もしツイッターが言論の自由を純粋に追及する方針をとることになったら、その恩恵を真っ先に享受するのは、検閲を比較的行うライバル会社かもしれないと示唆している。

 大手のSNSはこれまで、おおむね似通ったコンテンツモデレーション指針を定めてきており、その流れから逸脱することには消極的だ。

 ドゥーク氏は言う。

「ツイッターにトランプが戻ってきて投稿すると、それがメディアで一日中、毎日大きく取り上げられる。ほかのプラットフォームは一歩退き、ポップコーンを食べながらそれを眺めている。そんな光景が想像できる」