藤田 ウェルビーイングはふわっとさせず、日本の今の時流にあったものとして定着させていくことが必要だと思います。しかしいまだ、このウェルビーイングという概念は多様な定義があり、認識は人それぞれです。立飛は、GREEN SPRINGSによってウェルビーイングと事業戦略をつなげた先駆的なプレイヤーになったのだと思います。
横山 GREEN SPRINGSだけで時代の要請にすべて応えられるわけではありませんが、このプロジェクトは“場所をつくる”という事業だったので、幸せを体感しながら人々が過ごすためのエッセンスを散りばめました。
藤田 素晴らしいですね。幸せの定義に関する研究は数多くありますが、説明が難しい。立ち返ってみれば、幸せとは考えるものではなく、感じるものなのかなと。GREEN SPRINGSに来て思ったのは、なんといっても空間の気持ち良さ。“感じられる豊かさや幸せ”の提供が叶っていると思います。プロジェクトの構想はいつからですか?
横山 企画は2015年から始めました。
藤田 その時代に新しい価値の必要性に気づいていたのは驚きです。
横山 気づいていたというより、限界を感じたというのが近いかもしれません。不動産事業に限らず、飲食も物販も、消費者がすでにある雛形に飽きてしまっているのだと。
藤田 これほどの土地があれば、知名度が高く効率よく利潤を追求できるテナントを集め、短期的にでも集客に結びつけることも容易だったはずですよね。
横山 そうですね。でも、立飛ホールディングス社長の村山からは、当たり前にある普通のものではなくて、振り子を振り切ったものを造ってほしい、という強い後押しもあったので。
藤田 新しいやり方で、中長期的な視点をもつ。この2つの変数を“時代の気分”に合うウェルビーイングとフュージョンさせていった結果が、GREEN SPRINGSとして産声を上げたということですね。
(後編に続く)
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