「暑さ寒さも彼岸まで」
冬の寒さは春分まで、夏の暑さは秋分を境に和らぎ、しのぎやすくなるという意だ。
3月21日春分の日(春分日)はご先祖だけでなく、自然や動植物にも感謝と敬意、慈しみをもって接する「自然をたたえ、生物をいつくしむ」であり国民の祝日。
また、太陽が真東から昇り、真西に沈む、昼夜の長さがほぼ等しくなる日でもある。
春分の日は、地球と太陽の動きにより定まる。
地球の赤道を天球に延ばした天の赤道と、太陽の通り道である黄道の2つの交点のうち、黄道が南から北へ交わる方の点を「春分点」と呼ぶ。
太陽が春分点を通過した瞬間、太陽黄経が0度となった日が春分の日として定められる。4年に1度訪れる「うるう年」によって春分の日も変わってくる。
仏教では、私たちが生きる現世、つまり煩悩や迷いに苦しめられ、あくせく暮らす世界を「此岸(しがん)」という。
死後に行くあの世の世界は、「彼岸」と呼ばれ、煩悩に煩わされることなく永遠に平穏無事に暮らせると信じられてきた。
「到彼岸(とうひがん)」とは、煩悩と迷いの「此岸」から、覚りの世界である「彼岸」に到る、または、そこに到る修行を指す。
浄土思想では阿弥陀如来の西方浄土は西にあり「彼岸」である、あの世は西方に、現世である「此岸」は東にあるとされる。
太陽が真東から昇り真西に沈む春分・秋分の日は、「彼岸」と「此岸」が最も距離が縮まり、通じやすくなる時であり、この世とあの世が最も近くなる日とされ、春分・秋分の日に先祖供養をするというしきたりがある。