力士の贔屓筋を指す「タニマチ」の語源にもなった大阪市の谷町(中央区)のほど近くに、「悩み相談の総合コンサルタント」を謳う小さな事務所がある。

 この「タイムリー総合事務所」代表の田村和之さんは、長年にわたり、市井の人たちの借金問題や離婚トラブル、いじめなどの相談を受けてきた。

知人の借金問題の相談に乗ったのがきっかけで

 44歳まではサラリーマン生活をしてきたが、当時の仕事上のクライアントからたまたま持ちかけられた相談に親身に対応、孤軍奮闘して解決したところ、田村さん自身もそれまでに感じたことのなかった充足感を得ることができた。これをきっかけに「人々の悩み解決」に本格的に乗り出すことにしたのだ。サラリーマンとの掛け持ちだ。

田村和之さん

 始めてみると、人づてに寄せられる相談事の多くは借金問題だった。時は1990年代初頭、まさに土地バブルが弾ける直前だった。

「最初に相談を受けたのもやっぱり借金問題です。当時はサラ金や闇金はやりたい放題でした。ヤクザと変わらない。取り立ても常軌を逸していて、24時間取り立てにくる。彼らが言う言葉もひどくて、『腎臓売ったらいくらになる』とか『風俗で働いて返済しろ』とかマンガ『ミナミの帝王』に出てくるような罵詈雑言を平気で債務者に浴びせていました。こんなこと毎日やられたら債務者は頭がおかしくなってしまう。実際、当時は借金苦で自ら命を絶つ人も多かった」

 借金の相談をいくつか受けるうちに田村さんの義侠心に火がついた。何とかして助けなければならない。本業のサラリーマンどころではない。人の命が掛かっているのだから。相談相手が知人なのだからなおさらだ。「人の心の痛みを取って上げたい」そう思った。

「当時、債務者をまともに相手にしてくれる弁護士はほとんどいませんでした。債務者は金にならないからです。借金を抱えている人が弁護士費用を払えるわけがないと踏んでいた。だから相談を受ける場合でも前金を取っていた弁護士が多かったんです。債務者は借金問題を解決する前に何十万円もの金を用意する必要があったんです。もちろん、多くの債務者はそんな金を払えるわけがありません」