50歳でも若手、ここにも高齢化の大波が

 さて、前置きが長くなったが、もう少しおつきあい願いたい。

 狩猟をするために必要なものは「狩猟免許」である。といっても運転免許証のようなカード状のものはなく、免状があるのみだ。これを取得するには毎年夏頃開催される狩猟免許試験に合格しなければならない。

 試験には徒歩での狩猟時に仲間同士で川を渡る際、先に渡った仲間に鉄砲を渡して持ってもらう、という動作があったのだが、これが鉄砲のどこを持つか、その後どうやって渡すか、右手左手の所作の手順、言葉まで決められていて難儀だった。もし狩猟の現場でそうしたシチュエーションに遭遇したら、銃の正しい渡し方を思い出そうとするだけで足を滑らせそうになるだろう。

 他には狩猟鳥獣とそうでない鳥獣を見分ける試験、簡単な運動能力テスト、視力検査などがある。合格後は3年ごとに免許の更新(講習、講義、運動能力テスト、視力検査)がある。

 昨今はジビエブームであり、少し前には「狩りガール」などというのが流行り、狩猟が注目されているからなのか狩猟免許試験の空きがない、ということがあるそうだ。射撃界、特に狩猟界は長年高齢化が著しく、50歳でも若手と呼ばれる。若返りが急務であるゆえ喜ばしいが、関係機関がニーズに追い付いていないのが現状らしい。

(次回、『初体験なのに猟に出てみたら疼く本能、「やっぱりヒトの先祖は狩猟民族だ」』に続く)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69114