(賢持 拓志:台湾在住ライター)
台湾の行政院は2月8日、2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県などで生産・加工された食品に対して課していた輸入規制措置の緩和案を発表した(政府発表資料)。
台湾ではこれまで、上記5県産の食品について(一部酒類を除き)輸入停止としていたが、(1)科学的根拠、(2)国際基準以上の厳格さを求める、(3)国民の食の安全性を守ること──という「3つの原則」に基づき、11年間におよぶ輸入規制を緩和するとした。
規制緩和後は5県産の食品について、野生鳥獣肉、キノコ類(菇類)、コシアブラ(漉油菜)を除き、放射性物質検査報告書と産地証明書の添付を条件に輸出が可能となる見込みだ。ただし、日本で流通が禁止されている品目は、すべて台湾に輸入することはできない。
11年前の震災直後には55カ国で輸入規制が導入されたが、徐々に緩和され、現時点で福島周辺の食品を輸入規制している国は中国と台湾のみとなっていた。今回の緩和には、台湾がTPP11(CPTPP)などの国際貿易システムに加入し、中国へのけん制をする目的もあるとも言われている。
もっとも、いざ解禁となったとしても、やはり気になるのは「モノ」や「味」よりも「安全性」だ。それでは、台湾の人々がどう見ているかというと、台湾(台北)在住の筆者が数十人の友人などに話をきいた限りでは、そこまで興味がないか、意識して購入をしようとは思わないとの意見が多数だった。