沖縄周辺の島々で遠征前進基地作戦(EABO)の訓練を行う海兵隊員(2021年6月、出所:米海軍

(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカ海軍情報筋では、現代の軍事情報の9割以上はオープンソースから得られるとされている。そのため世界中の多言語メディアによる膨大なデータを整理し、分析し、評価し、統合して、有用と思われる情報を生み出す作業が不可欠となっている。

 もちろん同盟国とはいえ日本のオープンソースの分析も欠かせない。とりわけ沖縄を中心に日本各地に駐留している在日アメリカ軍に関して、あるいは日本周辺のみならず世界中で活動するアメリカ軍の動きなどに対する日本国内での広範囲なレベルの反応には大いに注意が払われている。

 そのような日本のオープンソース分析に関係する人々の間で「米軍に関する情報をかなり正確に(日本の読者に対して)提示している」と評価されているメディアがある。それは、興味深いことに日本共産党の「しんぶん赤旗」だ。

 言うまでもなくアメリカは反共国家である。軍内部では中華人民共和国のことを日本ではほとんど使われなくなった「中共(ChiComm)」(Chinese Communists)と呼ぶ場合も少なくない。そのような反共意識の強い軍関係者たちに共産党の機関紙が評価(?)されているのだから皮肉なものだ。