元役員に特許侵害で訴えられたサムスン電子本社(ソウル)

サムスン電子元役員がパテント・トロールに

 2021年11月、日本ではあまり知られていないが、実は韓国の経済界を震撼させる出来事があった。

 米国でサムスン電子を相手取った特許侵害訴訟が起きたのだ。

 これまでも、サムスン電子は米アップルや中国のファーウェイと特許侵害訴訟で揉めたことがあるので、珍しいことではない。

 だが、今回訴訟を起こした相手は、ごく最近までサムスン電子で特許関連のトップを務めていた元役員だった。

 サムスン電子にしてみれば「飼い犬に手を噛まれた」形となったのだ。

 今回の訴訟に対して、サムスン電子側も黙ってはいなかった。

 2022年2月に入って「訴訟した相手は営業秘密を盗用し、信義則の義務を違反した」として、反訴を提起するなど、強力に対応し始めた。

 特許庁の資料によると、2017年以降2021年9月まで米国企業から特許関連で訴えられた韓国企業は20社、提訴件数は707件だ。

 一番の標的になっているのはサムスン電子で、ここ5年間で413件で提訴された。週に1度は特許訴訟に巻き込まれた計算となる。

 このうち、70%以上がパテント・トロールからの訴訟であった。