(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
ロシアは2月中旬までにウクライナに侵攻するとの分析が出てきました。以前から言われているように泥濘地が凍結している時期は侵攻しやすいことに加え、連日ウクライナ上空を飛行しているNATOの偵察機や衛星画像から、ロシア軍の物資集積状況を分析した結果でしょう。
ここまでの状況になり、やっとメディアも危機を報じるようになってきましたが、日本からは関心の薄い地域であるため、基本的なことが理解されているとは言えません。
そこで以下では、ウクライナを取り巻く軍事的な状況を解説し、ロシアが侵攻を開始した場合の理解を助ける基礎的な情報を提供したいと思います。
ウクライナ侵攻の地政学
「地政学」と小見出しを付けましたが、ウクライナの置かれた地理的な状況を見てみましょうということです。下の地図のように、ウクライナは「ロシアおよび親ロシア勢力」(赤く塗った部分)に取り囲まれています。
ウクライナは、東、北東でロシアと直接接しています。また2014年からは、ウクライナ東部がロシアの支援を受ける親ロ派に、クリミアがロシアに、それぞれ占領されているため、こちらからも侵攻を受ける可能性があります。