渡航費用と滞在費用の出所をしつこく尋問
それから、ビデオを回しながら、尋問がはじまる。
「ここへ来た目的はなんだ?」
観光ビザで入国していたから「観光」と答える。
「観光、ほう・・・。観光なら、その旅費はどうした?」
費用は自分で用意している、と答える。
「渡航費用は? 滞在費は? 誰が出している?」
だから自分で準備した、と答える。当たり前のことだ。取材であれば費用は自分で捻出するなり、大手メディアから自らの努力で引っ張ってこなければならない。
すると警官はすぐに、
「あなたは、長沙市内(省都)の○○というホテルに宿泊している」
と言い当て、さらにこう言い放った。
「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」
それから「この旅行費用はどこから出ているのか、言え」と問い質してきた。そして彼の発した次の言葉に、私は驚かされた。
「東京にある出版社から、中国の旅行代理店に送金があったことを我々は知っている」
中国では、ホテルにチェックインした段階でパスポート情報が登録され、政府に関連する機関と共有するシステムになっている。日本人観光客の個人情報など筒抜けだ。しかし、東京からの送金実績まで事前に把握しているとは思いもよらなかった。