選挙委員会のメンバーは中国ビジネス関係者が多い。具体的には「工商・金融界」「基層・労工・宗教等界」など5つの業界の各300人から構成される。選挙委員会メンバーも選挙で選ばれるが、資格審査委員会による立候補者の事前審査があるため、民主派の委員は1人もいない。
香港のトップ、行政長官は、1500人の選挙委員会による投票で選ばれる。また立法会の90議席のうち40議席は、選挙委員会のメンバーの中から選出されることになった。
立法会の残りの50議席は、20議席が直接選挙枠(地区選挙枠)、30議席が間接選挙で選ばれる職能別選挙枠である。
市民が直接投票をする地区選挙枠は、民主派が伝統的に強く、ここで議席数を稼いできた。だが新制度では、従来の35議席から20議席に減らされた。前回までは全5区による比例代表制の中選挙区制だったが、今回から全10区となり、各区とも上位2人が当選となる。立候補するには、最低100人の推薦が必要で、5つの業界の選挙委員すべてから最低2人ずつ推薦を受けなければならない。これだけでもハードルが高いが、さらに警察の治安部門が候補者の思想などを調べ、結果を「資格審査委員会」に報告する。選挙委員会が「政府への忠誠がない」と判断した場合、立候補を認めないため、民主派は立候補自体が困難だ。
こう見ると、選挙委員会のメンバーは、行政長官を選ぶ権利があり、議会の約45%を占め、立候補のための推薦人にもなるという、強大な権力を持つことがわかる。
ちなみに、地区選挙での最多得票者は親中派最大政党「民主建港協進聯盟(DAB)」の李慧琼(スターリー・リー)主席で、9万5976票を獲得した。一方、「非建制派」でただ1人の当選議員とは、職能別枠で社会福利界から当選した中間派政党の新思維の主席・狄志遠氏だった。
