女優、歌手、タレントとして一世を風靡した中村メイコさん。87歳となった現在は、「終活」として身辺整理を進めている。
歳を重ねてきた分、身の回りには思い出が詰まったものがあふれている。大事なものを手放すのは寂しいが、高倉健と江利チエミの結婚式の写真や東郷青児が描いた似顔絵など、トラック7台分以上の宝物を手放すほどの潔さだ。そして、辿り着いた「お別れ時」という言葉──。
コロナ禍にあっても人生の最後を明るく身軽に生きるヒントが描かれた『大事なものから捨てなさい メイコ流笑って死ぬための33のヒント』。中村メイコさんが本書に込めた思いを聞いた。(聞き手:加藤 葵、シード・プランニング研究員)
※記事の最後に中村メイコさんの動画インタビューが掲載されています。是非ご覧下さい。
──「人生のラストシーンはシンプルな病室で迎えたいと思っている」と本書で述べられています。「理想の最期」とは、どのような姿をイメージされていますか。
中村メイコ氏(以下、中村):俳優は、撮影セットとシーンに自分を合わせることに慣れています。だから、いかにも「これがあなたの最期の場面です!」というような病室で死にたいと若い時から思っていました。
──より良い最期を迎えるために準備していることはありますか。
中村:ものを減らすことです。芸能界のお仕事をしていると、いただきものも多いし、多くの洋服が必要になります。普通の方の3倍はあるのではないでしょうか。50代半ばくらいからものを減らし始めるといいと思います。
──「私がやったのはいわゆる断捨離とは少し違う。そもそも私はこの言葉が持つ暗さが好きになれなかった」と書いています。「断捨離」とメイコさんの言う「お別れ時」という言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
中村:断捨離という言葉は漢字も難しいですし、あまり好きになれません。ものとの「お別れ時」と言う方が、少しロマンティックに感じませんか。
──「初めてお別れ時をした際、捨てたものの量はなんとトラック7台分にもなり、これでいつでも死ねると思った」とあります。
中村:当時、仕事以外で着物を着ることが少なくなったので、捨てたものには着物類が多かったです。私は割と思い切りがいいので、昨日買ったものでも似合わないと思うとすぐに捨ててしまいます。ガールフレンドもボーイフレンドも、「私に合わないな」と思ったらすぐにサヨナラしてしまいます(笑)。