2021年12月4日、中国政府は記者会見を開き「中国の民主」と題する白書を公表した(写真:新華社/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 米国が12月9~10日の日程で、台湾を含む110カ国を集めてオンラインの「民主主義サミット」を開催するのだが、これに招待されていない中国が12月4日、突如「中国の民主」と題した白書を発表した。およそ2万字の長文の白書で、中国にも独自に創り上げた民主があり、それは米国とは違う民主であると主張している。

 果たして中国の民主とはいかなるものか。そして、日本人にとっての民主は米国の民主に近いのか、それとも中国の民主に近いのか。改めて民主とはなにかを考えるタイミングとしたい。

「人民が国家の主人である」と主張

「中国の民主」白書によると、中国民主の本質とは「人民民主」であり、「人民が国家の主人である」ことを核心とする、という。完全な制度プロセスによって実施された「人民民主専制の国体」は、中国人民が人民代表大会を通じて権利を行使し、中国共産党の指導の下、多党(共産党の衛星党)と協力することで、多党制の政治的弊害を効果的に回避することができる、としている。

 この白書はおよそ5つのパートに分かれている。