北朝鮮の平壌市三石区域長寿園に、伝統と現代な新しさが共存する「長寿園迎賓館」がある。故金日成(キム・イルソン)主席が生前に愛用していた「特閣(最高指導者だけが利用できる別荘)」で、前代未聞の「プノンペン・ラブストーリー」が繰り広げられた場所だ。
カンボジア国王だったノロドム・シアヌーク(68)と長寿園迎賓館の管理員だったファン・スオク(22)の間のラブストーリーである。今回は年齢と国境を越えた国際結婚について語ろう。
(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」 (https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)
(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
元カンボジアの国王ノロドム・シアヌークは、1922年10月31日、ノロドム・スラマリット王子(当時)とシソワット・コシマック妃の長男として生まれた。1941年4月から1955年、そして1993年から2004年10月7日までカンボジア国王の座にあったシアヌークは、国王、大統領、首相、国会議長、亡命政府首班など、世界で最も多くの職位を持っていた人物としてギネスブックに掲載されている。
多くが実権を持たない名誉職で、最後の職位はカンボジアの象徴的な合憲君主だった。実質的な統治期間は、カンボジアが独立した1953年11月9日から1970年3月18日(1955年に退位した後、首相や国家元首として統治)。数本の映画を作るなど、カンボジア映画監督としての一面もあった。金日成の生前には、シアヌークが監督したカンボジア映画を北朝鮮のテレビで放映したこともある。
理由は不明だが、シアヌークと金日成は、互いを兄弟と呼び合うほど親しかった。長寿園迎賓館も、金日成がシアヌークにプレゼントした別荘だ。シアヌークがカンボジア国王の座を追われて中国に滞在した時、金日成が北朝鮮護衛総局にシアヌークの警護を担当するよう指示を出したこともある。
事実、北朝鮮護衛総局の警護員はシアヌークの警護のために中国やカンボジアに常駐し、飲料水や食べ物から生活必需品に至るまで、すべてを用意した。シアヌークは、金日成の生前、北朝鮮を訪れる度に金日成が贈った長寿院迎賓館に滞在した。その際、長寿院迎賓館でシアヌークの寝室を管理した女性がファン・スオクだった。