「MIYASHITA PARK」は商業施設の上に公共の公園
北谷公園から徒歩5分ほどのところに、伊藤氏が計画に関わった、もう1つの話題の公園がある。2020年7月にオープンした、渋谷駅近くにある公園「MIYASHITA PARK」だ。

これは1966年に整備された渋谷区立宮下公園が老朽化したことから、公園を生かして建て替えたプロジェクト。「立体都市公園制度」という、建物の上に公園を設けることができる比較的新しい制度を使い、商業施設と一体開発した。設計は竹中工務店と日建設計(プロジェクトアーキテクト)が共同して進めた。
伊藤氏は言う。「コロナ以降、公園でゆっくり過ごしたいと思う人は増えているが、日本には魅力的な公園が少ない。それは設計だけの問題ではなく、管理にお金をかけられないから。これからは空間の提案とともに、地域も絡めてお金を生む仕組みを提案できるようになることが重要だ」。
前回のヘリテージビジネスラボも、今回のパブリックアセットラボも、数年前に社内提案で生まれた比較的新しい組織。どちらも提案者(前者は西澤氏、後者は伊藤氏)がチームをリードしている。当たり前だが、企業なのでボランティアでなくビジネスだ。顕在化しつつある社会ニーズの中に、新たな建築の可能性とビジネスの可能性を両立すべく奮闘している。そうした新ビジネスの芽は日建設計の社内にいくつもある。
このようなユニークな建築設計集団「日建設計」の歴史や組織に興味のある方は、拙著『誰も知らない日建設計 世界最大級の設計者集団の素顔』をぜひ手にとっていただきたい。
第1回から読む
東京タワー、東京ドーム、東京スカイツリー、共通点は何?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67790

『誰も知らない日建設計 世界最大級の設計者集団の素顔』
著者:宮沢 洋
価格:2750円(税込)
ISBN:978-4-532-32442-1
発行日:2021年11月19日
発行:日本経済新聞出版
ページ数:184ページ
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4532324424/
日経の本:https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/32442