プロジェクトの中心になったのは日建設計パブリックアセットラボ アソシエイトの伊藤雅人氏。新生・北谷公園は、「禁止事項だらけの日本の公園を変えたい」という伊藤氏の想いが詰まった公園だ。

日建設計パブリックアセットラボ アソシエイトの伊藤雅人氏(写真:宮沢洋)

 Park-PFIは、2017年の都市公園法改正で創設された「公募設置管理制度」のことだ。都市公園の魅力と利便性の向上を図るために、公園の整備を行う民間の事業者を公募し選定する制度である。これを利用して、公園内にカフェやショップなどの集客施設や保育所、デイサービスセンターなど、地域の人が集う施設が続々と生まれつつある。伊藤氏もこの制度に公園の活路を見いだした。

 北谷公園の指定管理者は、東急を代表企業とする「しぶきたパートナーズ」。東急のほか、イベント企画や広告を手掛けるCRAZY ADと日建設計の3社で構成される。渋谷区は2020年8月に指定管理者を公募し、同年12月にしぶきたパートナーズを選定した。

 渋谷区ではこの北谷公園が初のPark-PFIだが、それ自体は今やトレンドの1つで珍しくはない。このプロジェクトで珍しいのは、設計を担当した日建設計が公園の「指定管理者」の一員でもあること。つまり、日建設計が運営にも関わるのだ。

 東急が全体を統括し、CRAZY ADが広場運営、日建設計が特定公園施設や公募対象公園施設の設計業務や竣工後の地域連携業務を担う。日建設計はこのプロジェクトで指定管理者の一員となるために、会社の定款を改定したという。

改修前の北谷公園(写真:日建設計)
同じ方向から見た改修後の北谷公園(写真:日建設計)

 伊藤氏は言う。「これまでいくつもの屋外空間を設計してきたが、使い方を提案するだけではどうしても説得力に欠ける。本当に運営を変えていくには、実際に運営者の一員になってノウハウを蓄積する必要がある」