自慢話に昇華した幕末期の「大西郷」

 渋沢栄一が西郷隆盛と初めて出会ったのは、一橋家に仕官して間もないころであった。渋沢の回顧録を基にまとめられた『竜門雑誌』の記事には、「当時の青年の間では有名な

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