(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
タジキスタンとの連携を強化
米軍が8月下旬にアフガニスタンから撤退して以降、中国は中央アジア諸国と安全保障面での連携強化を急いでいる。アフガニスタンからのテロの輸出を防いでいた米軍が撤退した以上、中国は自力で自国民の命と利権を守らなければならなくなっているからだ。
アフガニスタンで実権を掌握したイスラム主義勢力「タリバン」と友好関係を築こうとする一方、中央アジア諸国の中で中国がとくに連携強化を図っている国がタジキスタンだ。
他の中央アジア諸国とは異なり、タリバンとの直接の協議を避けているタジキスタンと中国は、「タリバンが国内の過激派組織を抑えることができない」との懸念を共有している。
10月下旬、中国政府がタジキスタンのアフガニスタンとの国境近くに警察施設を建設していることが明らかになった(10月29日付AFP)。施設はアフガニスタンから中国へ繋がる回廊(ワクハン回廊)の近くに位置する。建設費用(850万ドル)は全額中国側が負担し、完成後はタジキスタン警察に引き渡されるという。