(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
北朝鮮の人民班は20~40世帯で構成される末端の行政組織で、区役所に相当する区域人民委員会に属し、役場の行政責任者や党書記の指示と統制を受けている。
人民班の役割は所属する世帯の思想監視と生活統制で、世帯に割り当てられる経済面における国からの指示や負担、また人民班が属している村や集合住宅の清掃が強要されている。仕事を終えて帰宅した人々は、人民班生活に苦しめられている。
(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」
(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)
北朝鮮から脱北して韓国で暮らす人たちは、皆一様に「韓国の好きなところは人民班会議がないことだ」と話している。それほど北朝鮮の人民班会議は、住民を2重、3重に苦しめている。
人民班会議は通常、夕方の帰宅後、短い時は30分ほど、長い時は1時間以上も行われる。主に人民班長の家に集まり進行する会議内容の大半は上からの指示の伝達だ。
「今回、人民班で世代別(家庭別)衛生検閲を実施したところ、ある世帯は社会主義の生活様式に合わせた家の衛生管理ができていたが、ある世帯は掃除ができていなくて汚かった」「ある世帯は農業の肥料の代わりに作る人糞課題を徹底的に遂行したが、ある世帯は遂行できていない」といったようなないようである。
課題を遂行した家とできていない家をその場で確認しながら会議を進行する、後で個別に確認する──など、司会進行役の人民班長によって進め方は違うかもしれないが、人民班会議に参加する住民の多くはストレスを感じている。
人民班会議は家庭に関する問題が多く、参加者の大半は家庭の妻である。人民班会議に参加した妻は、会議で受けたストレスを夫や子供たちにぶつける。仮に、韓国や日本でこのような人民班会議があれば、ストレスに耐えられる人はいないかもしれない。それほど参加したくない会議なのだ。