以上のようなバイデン大統領の公式の場での発言はいずれも事実と反した。つまり虚構だった。バイデン政権の国防総省報道官というような政権中枢の人物たちが大統領の発言は間違っているという趣旨の言明をする、という始末なのだ。

 バイデン発言の虚構をさらに強く印象づけたのは米軍統合参謀本部議長らの9月28日の上院軍事委員会での証言だった。

 同議長のマーク・ミリー大将とアフガニスタンを管轄下におく米中央軍のケネス・マッケンジー司令官はともにこの軍事委員会の公聴会でバイデン大統領に対してアフガニスタンにはなお少なくとも2500人の米軍を継続して駐留させることを提案し、同大統領の8月末までの全面撤退案には反対していたことを明言したのだ。

 ところがバイデン大統領は一貫して、「米軍首脳もみな8月末の全面撤退に賛成であり、米軍残留を提案した人間はだれもいなかった」と断言し続けていた。率直に言えば、大統領が何度も公式の場で平然とウソをつくという無惨な状態が続いているである。

 アフガニスタンでは8月29日にも、バイデン大統領が命令したイスラム過激派テロ組織IS(イスラム国)系勢力への空爆だとする攻撃が実は誤爆だったと判明した。子供7人を含む死者10人はいずれもテロ組織とは無縁の民間人だったと米軍自身が公表したのだ。

外交も内政も失態続きで支持率急落

 アフガニスタン以外でもバイデン外交の失態は目立つ。